●溶解アセチレンガス C2H2(ACETYLENE)
1)性 質
 アセチレンは、無色の気体で純粋なものは無臭ですが、通 常は共存する不純物のため、特有な臭気があります。条件によっては、炭素と水素に分解爆発の危険性があるガスのため、爆発上限界が100%となっています。銅、銀等の金属とは爆発性の金属アセチリドをつくるので、これらの金属は使用に制限がある。
●溶解アセチレンの主な性質
分子量
26.04
沸点(℃)
-81.8
ガス密度(Kg/m3 0℃ 1atm)
1.173
ガス比重(空気=1 0℃atm)
0.895
最低着火温度(℃)
305
火炎温度(℃)
3,330
爆発範囲(空気中 Vol%)
2.5〜100
溶解アセチレンガス
2)製造法
 カルシュームカーバイト(CaC2)と水との反応でアセチレンを発生させる。この反応は発熱反応のため冷却して温度制御したのち、清浄装置で不純物を除去する。
 容器に充填するため、圧縮機で昇圧させる。油分を分離し、さらに高圧乾燥器で精製し高純度にする。容器に充填する際も一定の圧力以下で冷却しつつ充填系統を切換えながら充填し、バーコードにより受け入れから充填、出荷はコンピューターと連動させ、合理化と精度の向上に努めている。
●溶解アセチレンの製造フロー
溶解アセチレンの製造フロー
3)用 途
 金属加工用:鉄板の切断、鉄筋の圧接、鋼材の焼入れ、溶接、溶射、ろう付け等
 *この他に、原子吸光分析用燃焼ガスや、化成品製造原料の一部にも利用されています。
●溶解アセチレンとの火炎温度比較
ガス名
メタンガス
プロパンガス
プロピレンガス
エチレンガス
アセチレンガス
火炎温度
2,780℃
2,800℃
2,900℃
3,000℃

3,330℃

4)特 徴
  溶接容器内に多孔性物質(空間率90%)を詰めた状態で、有機溶剤(アセトン、DMF)にアセチレンガスを溶け込ませて加圧充填されています。そのため気相で分解爆発が起こっても、「溶解」された液相ガスにまでは伝わらないように、きわめて高い安全性を確保した状態で流通 、消費されています。そのようなアセチレンは、火炎温度が高い、火炎集中性が良いなどの優れた点を備えています。